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軟弱野菜の光化学オキシダント被害軽減対策

大気汚染物質である光化学オキシダント(オゾン)は、気温上昇により生成反応が促進され、濃度が上昇すると考えられています。工場や自動車交通が集中する都市部では、温暖化によってさらに Ox 濃度が上昇し、光化学スモッグの発生頻度が増えると予想されます。
光化学オキシダントは、人への健康被害を引き起こすだけではありません。農作物など植物への被害ももたらします。光化学オキシダント濃度が高くなりやすく、光化学スモッグ注意報の発令回数も多い埼玉県では、時としてホウレンソウなどの軟弱野菜で光化学オキシダントによる被害が発生します。

そこで、埼玉県環境科学国際センターと埼玉県農林総合研究センター(現 埼玉県農業技術研究センター)では、ホウレンソウやコマツナのオゾン感受性に注目し、オゾンに強い品種の選抜を行いました。また、その結果をまとめ、対策マニュアルを作成し現場の技術指導に活用しています。

この様な取組も、気候変動による影響を回避するための適応策の一つだと考えられます。

光化学オキシダントのホウレンソウ・コマツナへの影響を把握



高温耐性品種の育成

埼玉県農業技術センターでは、近年増加しているイネの高温障害対策として、高温耐性品種の育成に取り組み、2012年に新品種彩のきずなをリリースしました。このような高温耐性品種の育種は、現在既に起きている高温障害の対策として役立つ技術ですが、将来の気温上昇に対する適応策としても重要な取組です。

彩のきずなの開発ストーリーは以下のページをご参照ください。

https://www.sainokizuna.com/story/index.html

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0904/komemugidaizu/kizuna.html