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月ごとの気温の推移

100年以上の観測期間のある熊谷地方気象台における月ごとの気温の推移を以下に示します。

いずれの月においても長期的に気温は上昇傾向にあります。

各月の気温上昇量を比べると、
3月(100年あたり2.61℃の上昇)、5月(同2.82℃)、10月(同2.37℃)が大きく、
6月(同1.89℃)、7月(同1.55℃)の気温上昇量が小さいです。
なお、年間通しての長期的な気温上昇量は2.1℃です。




埼玉県における気温の推移

長期的な埼玉県内の気温の変化傾向を見るために、50年以上の長期の観測期間をもつ、「熊谷地方気象台」と「秩父特別地域気象観測所」における気温の推移を以下に示します。

年平均気温、日最高および
日最低気温の年平均気温の推移

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※ 画像はクリックしますと拡大されます。

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熊谷と秩父共に気温の長期的な上昇傾向が見られます。
上昇量は日最低気温が一番大きく、日最高気温の上昇量が一番小さくなっております。

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年最高気温および年最低気温の推移

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※ 画像はクリックしますと拡大されます。

.低気温

年間の最高気温および最低気温も熊谷と秩父では同じ傾向を示しており、年間の最低気温の方が上昇量が大きくなっています。
1980年代後半から1990年代に急激に上昇した後、最近はほぼ横ばいで推移しております。




冬日・熱帯夜・真夏日・猛暑日の日数の推移

熊谷地方気象台と秩父特別地域気象観測所における冬日・熱帯夜・真夏日・猛暑日の推移を以下に示します。

寒い日の指標である冬日の日数は長期的には減少傾向、暑い日の指標である熱帯夜・真夏日・猛暑日の日数は長期的に増加傾向が見られます。

冬日:日最低気温が0℃未満の日
熱帯夜:日最低気温が25℃以上の日
真夏日:日最高気温が30℃以上の日
猛暑日:日最高気温が35℃以上の日

熊谷地方気象台

熊谷地方気象台における多くの指標において1980年代後半を境に傾向の変化が見られます。

冬日:1940年代以前は80日前後、1960年代〜70年代は70日前後で推移していました。1980年代後半以降には40日程度に減少しましたが、近年は横ばいで推移しています。

熱帯夜:1980年代後半以前では多い年で10日ほどの日数で、熱帯夜が観測されない年も存在しました。1980年代後半以降は増加傾向が見られ、毎年熱帯夜を観測しています。2010年代には30日を観測した年もありました。

真夏日:1980年代後半以前では50日前後で推移し、それ以後は増加傾向が見られます。近年では60日前後で推移しています。

猛暑日:他と異なり、1970年ごろを境に傾向が変化しています。1970年ごろより前では5日前後であった日数が、それ以降は増加傾向に転じて、現在は20日前後観測されており、増加傾向が継続しています。

秩父特別地域気象観測所

次に秩父特別地域気象観測所における冬日・熱帯夜・真夏日・猛暑日の推移です。熊谷地方気象台と同じ傾向が見られますが、以前はほとんど観測されなかった熱帯夜が近年では観測されるようになってきています。

冬日:1940年代以降一貫して減少傾向が見られます。

熱帯夜:2010年代以前はほとんど見られませんでしたが、2018年に5日観測しています。

真夏日:1990年ごろ以前では40日前後で推移していましたが、それ以降は増加傾向が見られ、近年では55日前後見られます。

猛暑日:猛暑日:1990年代以降増加傾向が見られます。




埼玉県の温室効果ガス濃度の推移

埼玉県環境科学国際センターでは、1991年以降、最も影響の大きい温室効果ガスである二酸化炭素濃度の精密観測を県独自で行っています。
世界各国の観測値と比較するためには、WMO(世界気象機関)の標準ガスを基準とする必要がありますが、埼玉県における観測も、WMO標準ガスを基準とした観測を行っており、このような精密観測を行う観測所は国内に5地点しかありません。また、観測結果はWDCGG(温室効果ガス世界資料センター)定期的に提供し、特に堂平山の観測値はWDCGGによる世界平均濃度算出にも利用されています。
二酸化炭素の観測速報値は、こちらで公開しています。
また、他の代表的な温室効果ガスであるメタンや一酸化二窒素、HFCの調査結果は、こちらで公開しています。

埼玉県の二酸化炭素濃度は、季節変動を繰り返しながら確実に上昇しており、その上昇率は、世界平均の上昇率とほぼ同じです。




世界・日本・埼玉県の気温変化

世界の気温上昇

世界の年平均気温は1891年から2021年の間に0.77℃/100年の割合で上昇しました。

特に最近の8年間(2014~2021年)は、それ以前に最も高温であった1998年よりも高い平均気温を記録しています

日本の気温上昇

日本の年平均気温は長期的にみると上昇しています。1898年から2022年までの日本の気温上昇率(都市化の影響の少ない15地点の平均)は100年に換算すると1.30℃となっており、世界の気温上昇率(0.77℃/100年)より高くなっています。

図の緑色の折れ線を見ると、1980年代後半から1990年代前半に急激に気温が上昇した以降も緩やかに気温の上昇が続いていることがわかります。こうした傾向は世界の気温の変化傾向と一致しています。

地球温暖化による気温上昇は、一般的に高緯度ほど上昇量が大きく、低緯度ほど小さくなっています。また、海上よりも陸上において上昇量が大きくなっています。そのため、中緯度に位置し、大陸に近い日本では世界の平均と比べて気温上昇量が大きくなっていると考えられています。

埼玉県の気温上昇

埼玉県では、日本の平均と比べて早いペースで気温が上昇しています。

熊谷地方気象台においては、2007年(40.9℃)、2018年(41.1℃)と、度々日本最高気温を更新しており、暑さが厳しくなっています。

熊谷地方気象台の1898年から2022年までの気温上昇率は、100年に換算すると2.2℃となり、日本の平均気温の上昇率(1.3℃/100年)より高くなっています。これは、地球温暖化による気温上昇に加え、都市化の進行に伴うヒートアイランド現象の影響によるものと考えられています。

特に1980年代後半以降の気温上昇は大きく、2018年には観測開始以来最も高い年平均気温を観測しました。