松ケン主将の適応策ブログ#7 【温暖化で雪は減るのか増えるのか?】

【温暖化で雪は減るのか増えるのか?】


前回温暖化では気温は「底上げ」となり冬が春にはなりそうもない、という話をしました。そして、日本は雪国にはならないのではないか、ということも。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」数年前の2月に新潟に出かけたとき、まさにこのとおり!の経験をしたことがあります。

このあまりに有名な小説の冒頭は温暖化でリアルに経験できなくなる?そうも言い切れないようです。標高が上がると気温は下がるからです。

三国峠の越後口の現在の冬の気温は最低で氷点下10度以下になります。少なくともここ100年ぐらいの間は氷点下にとどまるでしょうから、トンネルの出口は雪国のままです。

むしろ雪の量は多くなるかもしれない。日本海側で降る雪のメカニズムからはそう想定されるのです。

よく天気予報で冬は「西高東低の気圧配置」と言っていますね。テレビなどでこの時の天気図を見ると、日本列島の上にタテ線が狭い間隔で引かれています。

この気圧配置により強い北風が吹き、大陸の高緯度地方から冷たい大気「寒気」が送り込まれます。

その寒気、乾燥しているのでそのままでは雪は降りません。大陸と日本列島の間に日本海があり、そこで大量の水蒸気を取り込むことがミソ。

水蒸気たっぷりの寒気はやがて日本列島の背骨である高い山脈にぶちあたります。そしてそれに沿って上昇、気温が下がって雲ができ雪を降らせるというわけです。

さて、温暖化の進行により海水の温度が上がります。それだけ水蒸気が多く発生します。大陸からやってくる寒気に供給される水蒸気の量も増えることになります。

それにより雪雲がより発達し、雪の量は増えると想定されるのです。

温暖化による気温上昇があっても寒気は消滅しません(少なくとも100年程度は)ので雪雲が作られるプロセスに変化はありません。ただし、平地は雪ではなく雨になる可能性は高いでしょう。

現在の積雪量と海水温の上昇による雲の発達想定から、温暖化により冬の日本海側では大雨になることが考えられます。山はドカ雪です。

現在とは異なる災害発生に備えなければならない。まさに「適応策」です。

観測によれば日本の積雪地域の雪の量は昭和より平成で減っているのだそうです。しかし、日平均降雪量は逆に増えている。

(https://www.nhk.or.jp/ashitanavi/article/3544.html)

最近、ドカ雪で車が立ち往生したというニュースが増えているように感じませんか。温暖化適応は冬においても考えていかなければならない課題なのです。

さて、太平洋側でも雪は降ります。それはまた別のメカニズムによります。では温暖化でそちらはどうなっていくのか。次回に続きます。


上部へ