松ケン主将の適応策ブログ#8 【温暖化で雪は減るのか増えるのか?その2〜太平洋側の雪はどうなる?】
【温暖化で雪は減るのか増えるのか?その2〜太平洋側の雪はどうなる?】
埼玉県環境科学国際センターの雪景色(2022年2月10日)
2月10日と13日、首都圏は大雪になるのでは、と予想されていました。
開けてみたら雪は降りましたが、ほとんど積もりませんでした。
「天気予報は当たんねーなー」と思いました?
テレビの天気予報で有名な気象予報士の森田正光さんが書いていましたが、2015年以降東京の雪予報は16回中8回が当たりの的中率5割なのだそうです。
太平洋側で雪が降るか降らないかの予報は気象予報士泣かせ。天気予報で一番難しいといっても過言ではないのだとか。
関東地方で雪が降るときの主な要因は二つ。「南岸低気圧」と「寒気の南下」です。(この二つなしに降ることもありますが例外的です。)
日本のような温帯地方に発生する低気圧は、寒気と暖気がぶつかった前線上に発達します。ゆえにその北側と南側では温度が変わります。北は低く、南は高い。
「南岸低気圧」とは主に冬季に太平洋側の南岸を通過するそうした温帯低気圧のことです。
そしてこの前線上の低気圧に向かって北から寒気が降りてくると、その北側で雪になるのです。
したがって「南岸低気圧」がどこを通るかが雪か雨かを決める大きな要素になります。
日本の南岸を遠く離れれば雪も雨も降りません。北に近づきすぎれば雨になる確率が高くなります。
首都圏に雪が降るかどうかの目安は「南岸低気圧」がちょうど八丈島のあたりを通過するとき、と経験的に言われています。
ところが気圧配置、大気の寒暖の状況、風の強さと向きなど冬季の気象条件は複雑で、低気圧の位置や発達度合い、寒気の南下状況を予想するのは非常に難しい。
しかもそれがたった1度の気温差で変わることもある(2月10日はあと1度下がっていたら大雪だったと言われています)50%でも高い確率なのかもしれません。
さて、このブログは天気の話ではなく温暖化適応策のお話。本題に戻りましょう。
ここまで述べてきた太平洋側の降雪条件は温暖化が進行しても、急激には変化しません。しかし、気温は上昇していくでしょうから雪より雨の確率が高くなります。
しかも海水温の上昇により低気圧により多くの水蒸気が供給され、より発達することになります。大雨・大雪になる可能性が高まります。
太平洋側の雪は今よりもっと珍しいことになりそうですが、降ったら大雪に。一方で大雨に備える必要が出てくるということなのです。
そうしたことに対応する「適応策」。冬季のそれは今までほとんど注目されてきませんでした。冬季の「適応策」とは? 次回で考えます。