Logo

気候変動コラム「蛇足の靴」#12 「季節」

2025-09-30

 

 国際協力でタイに在住していたときの笑い話である。「日本には春夏秋冬の四季があって羨ましい。でも、タイにも三季あるって知ってる?」「雨季と乾季の二季じゃないの?」「いや、三季節ですよ。hot, hotter, hottest」

 

 日本ではいつの間にか9月は完全に夏季になったようで、今年も半袖が手放せない日々が続きました。10月はどうなるのでしょう。少しは秋らしい気温になるのでしょうか。

 日本人にとって文化の礎ともなっている四季の変化がどうもおかしくなっているようです。「二季化」という言葉を最近聞くようになりました。地球温暖化の影響で夏と冬の期間が長くなり、春と秋がどんどん短くなっていく状況を憂える言葉です。

 そんな二季化が私たちの健康に様々な影響をもたらしています。熱中症など気象変動によるフィジカルヘルスへの影響はわかりやすく、注目されていますが、実はメンタルヘルスにも大きな影響があるようです。2022年、世界保健機関(WHO)はメンタルヘルスを気候変動の取組の優先事項にすべきとの立場から政策要綱を取りまとめました。下表はそこに紹介された気候変動のメンタルヘルスへの影響事項です。自殺の増加については、2023年に東京大学大学院医学系研究科の橋爪真弘教授らが発表した調査によると、現在、気温が原因で発生したと考えられる自殺者数は全体の約4.1%であるそうですが、仮に気温が4℃上昇すると仮定すると、今世紀末にはその数が6.5%程度に上昇すると予測されるそうです。極めて深刻な事態が懸念されます。

 世界は気温上昇をなんとしても1.5℃以内に抑えていくための緩和策を押し進める必要があることは言うまでもありませんが、こうしたメンタルヘルスへの影響を少しでも和らげるための適応策にも積極的に取り組む必要がある状況となっています。

 適応策になるかどうかはわかりませんが、1つ紹介したいのが、「光の季節感」です。進みつつある二季化は、いわば気温の季節感であるのに対して、光の季節感は、地球の公転と地軸の傾きによる太陽との位置関係から生じる1年間の変化です。この季節変化は幸い温暖化がどんなに進んでも概ね変化はしません。

 光の季節感の典型的な例として、二十四節気というものがあります。太陽の黄道上の位置に基づき、一年を24等分する伝統的な暦の仕組みです。太陽は約365日かけて黄道を一周し、15度ずつ移動するたびに節気が変わります。各節気は、春分、夏至、秋分、冬至など主要な節目を含み、自然の気温変化や天候の移ろいを示す目安として、古来より農作業や日常生活のリズムの調整に役立ってきました。残念ながら気温が変化し、各節気を表す言葉と実際の季節の状況は大きく変化しつつあります。しかし、季節毎の昼夜の長さの変化や日差しの傾きの変化などは変わりません。そして、そうした光の変化は前回紹介した生物季節にも影響を及ぼし、私たちに季節の移ろいを感じさせてくれます。光の季節感は日本人のメンタルにとって重要な役割を果たしているのではないでしょうか。

筆者プロフィール】

星野 弘志氏 (NPO法人環境ネットワーク埼玉 代表理事)

元埼玉県環境部長。現在はNPO法人環境ネットワーク埼玉(埼玉県地球温暖化防止活動推進センター)の代表理事、埼玉県環境科学国際センター客員研究員を務めるほか、埼玉グリーン購入ネットワーク会長、埼玉環境カウンセラー協会副会長などとして幅広く環境啓発活動などに取り組む。

◎星野氏経歴の詳細はこちら: (環境カウンセラーのサイトに移動します) 

https://edu.env.go.jp/counsel/counselor/2012111001


◎こちらもチェックしてみてください ↓↓↓

埼玉県環境科学国際センターHP: https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/index.html

公式Facebookhttps://www.facebook.com/saitama.kankyokagaku

公式インスタグラムhttps://www.instagram.com/cess.saitamaken/?hl=ja

公式Youtube: https://www.youtube.com/channel/UCloUEno4mbrzZlOT2SzEV7A