2026-02-25
#17「海がばけばけ」

「日に日に世界が悪くなる 気のせいかそうじゃない」こんな歌い出しで始まるのは、今、放映中のNHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」の主題歌、ハンバート ハンバートの「笑ったり転んだり」です。環境に関する活動をしている私にとっては、残念ながら今の実感にぴったりな歌詞です。
特に気になるのが最近の海の変容。量と質の両面で起こっている著しい変化は、まさに「ばけばけ」状態であり、私たち人間にとっては、お化けのように怖い話なのです。
地球上の水の総量は、約14億km3で、そのうち約97.5%が海水・塩水で、淡水は約2.5%しかありません。この淡水のうち約70%は氷河・氷山の氷であり、この氷の90%が南極大陸に、9%がグリーンランドにあるのです。
今、地球温暖化の進行による気温の上昇と、それに伴う海水温の上昇により、氷河・氷山が溶けだしています。2025年2月7日、北極と南極を合わせた地球全体(全球)の海氷域面積は、下図のとおり、人工衛星による観測史上最小値(1534万3800Km2)を記録したそうです。

2010年代平均の最小値(1682万4500Km2)と比べると150万Km2も減少しており、これは日本の面積の約4倍に当たります。

万が一グリーンランドの氷が全て消失した場合、海水面は6〜7メートルほど上昇すると考えられます。もし南極の氷が全て溶けた場合には、その10倍の60〜70メートルも上昇する計算になるそうです。加えて海水温が上昇すれば水の膨張による海面上昇も加わりますので、なんとも恐ろしい話です。
また、氷が溶けて大量の淡水が海に流れ込むと、前回のコラムで紹介したように海洋大循環が弱まり、全球の熱移送のバランスが崩れ、気候変動の影響も顕著になります。
海水温の上昇に加え、大気中のCO2の増大により海水中の炭酸濃度が高まり、酸性化が進行します。さらには、水温上昇などにより酸素濃度が低下する貧酸素化や深度方向に混ざりにくくなる成層化という現象なども進行し、海洋生態系はもとより、海洋資源に依存している私たちの生活への影響が懸念されます。
温暖化の影響ばかりではありません。プラスチックによる海洋汚染は、マイクロプラスチック問題も含め、非常に憂慮すべき状況となっています。このままプラスチックの環境中への排出が続けば、2050年には、海洋中のプラスチック量は魚の量よりも多くなるという予測結果も出ています。水質面でも海は「ばけばけ」状態になりつつあります。
こうした海の変容を目の当たりして、私たちはただ怖がっているばかりではいられません。ハンバート ハンバートはこう歌い続けます。「落ち込まないで諦めないで 君のとなり歩くから」 今日の海の変容を招いているのは、温暖化問題もプラスチック問題も、元をただせば石油・石炭などの化石燃料に依存した大量生産・大量消費・大量廃棄の現代文明であり、それにどっぷり浸かった私たちの日々の暮らしや行動なのです。海の変容を止めるためには、私たちの行動変容が不可欠です。今こそ、手を取り合って、サステナブル社会への道を歩き出しましょう。

【筆者プロフィール】
星野 弘志氏 (NPO法人環境ネットワーク埼玉 代表理事)
元埼玉県環境部長。現在はNPO法人環境ネットワーク埼玉(埼玉県地球温暖化防止活動推進センター)の代表理事、埼玉県環境科学国際センター客員研究員を務めるほか、埼玉グリーン購入ネットワーク会長、埼玉環境カウンセラー協会副会長などとして幅広く環境啓発活動などに取り組む。
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